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116.暑くて寒い日本の家

史上最も暑い夏を記録した2022年、東京の猛暑日は16日を数えて、それまでの13日を大きく上回り過去最高となりました。

特に6月終わりからの暑さは強烈で、71日には各地で40℃を上回り、命の危険すら感じるほどでした。

世界的にも猛暑となり、特にヨーロッパでは熱波により山火事が起き、ライン川の水位も下がるほどで、500年に1度の干ばつと囁かれていて、食料生産や経済活動にも様々な影響を与えています。

暑いことには慣れているはずのタイからの実習生ですら、

「にほん あついね~」と話しています。

詳しく聞いてみると夜が暑いそうで、タイではエアコンは無かったけど、日本ではエアコンが無いと夜眠れないと話していました。

南向きのアパートは仕事を終えて帰ると暑いのでしょう。

こんなに暑いとエアコンは欠かせません。

エアコンが各部屋に設置されて、家族が家に戻ったら各部屋でフル稼働、それをおよそ10年おきに買い替えていく、というのが日本の一般的な家庭のイメージでしょう。

特に熱は窓とサッシから入って来たり逃げたりするようで、二重や三重ガラスになっていない家が日本ではまだ80%以上もあることが大きな原因となっています。

また、壁の断熱が足りないことも指摘されています。

夏は暑く冬は寒いのが日本の家の問題なのです。

また各部屋にエアコンを設置していることは、部屋は暖かいが、廊下やトイレ、バスルームが寒く、温度差によるヒートショックで命を落とす人が年間19,000人もいるそうです。

これは交通事故死の5,000人より圧倒的に多い数です。

ここから言えるのは、個別の部屋ばかり暖めてはいけないという事です。

断熱性能の高い家なら、2階建ての1軒屋でも1台のエアコンで家じゅうを温めたり冷やしたりできるそうです。

これならエアコンの買い替えも1台のみで、トータルでは家計に優しいものになるかもしれません。

しかも、ヒートショックの心配は激減します。

1970年代までは日本の家も欧米の家もほぼ「無断熱」に近い建物でした。

当時欧米の家で1年間に使う暖房・給湯エネルギー量は灯油換算で1㎡当たり20リットルくらいでした。

その後オイルショックが起こり欧米は家の断熱化が進み、1985年には16リットル、1988年には12リットル、2001年には9リットル、2009年には6リットルまで義務化されています。

日本ではようやく2020年に一定の基準が設けられましたが、その最高基準でさえ欧米の1988年基準以下の低い性能なのです。

現在新築されている家の6割以上がその最低レベルの基準さえ満たしておらず、国の省エネルギー基準が義務ではなく目安というところにも問題があると考えられます。

毎年やってくる暑い夏と寒い冬にどう備えるかということは、日本に生きる私達に課せられた課題なのです。


# by meishanton | 2022-12-19 16:47
115.洋上風力発電の時代へ

 電力不足と言われ再三の節電要請が発出されたこの夏、お店でも職場でも家庭でも様々な節電協力をして何とか乗り切ることができました。

しかし、さらに冬の方が厳しい電力不足が来ると聞き、電気はどうなっているの?という気持ちになったのは私だけではないでしょう。

 そもそも東日本大震災により原発が全てストップして、石炭やLNGという火力発電に依存してきた日本、再生可能エネルギーを増やして電力のバランスを取ろうと考え、固定価格買取制度(FIT)をスタートさせました。

企業も家庭も積極的に太陽光パネルを設置し、先進国で最も太陽光発電の割合が多い国が日本でもあります。この夏は晴れの日も多く、太陽光発電が電力不足を補って貢献したようです。

 しかし、冬はそうは行きません。

何故なら日照時間が夏とは比較にならないからです。

夏のように太陽光発電に頼ることができないこの冬、原発も安全基準をクリアして地元の了解をとるという新たな原発はこの冬には間に合いません。

そうなると火力発電は出力を増やせるのか、ウクライナ情勢で価格が高騰するLNGは確保できるのか、いよいよ正念場が来そうです。

 そんな中、あるニュースが飛び込んできました。

国が入札した洋上風力発電の3地域に、驚くべき単価で落札した企業が現れました。

それは三菱商事のグループです。

秋田県能代市・三種町・男鹿市沖の48kwでは1kw13.26円、秋田県由利本荘市沖の82kwでは1kw11.99円、千葉県銚子市沖の39kwでは1kw16.49円と、いずれも2位以下を大きく引き離しました。

高騰する最近の電気料金を考えると驚くべき低価格で、島国日本は海岸線も長く、太陽光とは違い昼も夜も発電可能なことから大きな期待を抱かせるニュースです。

洋上風力発電は世界的にも注目が集まり、イギリスが先行し最近は中国が圧倒的に世界シェアを拡大しています。

三菱商事は国内では風力発電の実績が無く、逆に実績のある企業を向こうに驚きの価格で落札したのは、10年以上前から欧州で、なかでも英国、オランダ、ドイツで着実に取り組んだ実績があるからでしょう。当初は海底送電事業で基礎を築き、オランダを代表するエネルギー事業者Eneco社を傘下に入れ洋上風力のノウハウを蓄積して来ました。

 日本には事実上洋上風力建設の実績は無く、運転や維持に関する多数の人員も教育や訓練をして行かなければならなりません。

しかしながら三菱商事グループは上記の豊富な海外実績から圧倒的な低価格で実現できると計画したのでしょう。

 いよいよ2030年以降日本にも洋上風力発電の時代が来ます。

IEA(国際エネルギー機関)の見通しによれば日本は洋上風力発電のポテンシャルは電力需要の9倍も賄える可能性があると試算しています。

海に囲まれた日本が自国でエネルギーをまかなう時代が早く来てほしいと願うそんな冬になりそうです。


# by meishanton | 2022-10-19 19:08
114.新しい技能実習生

 農場で働く技能実習生のカンジャナは201910月にタイから日本にやって来ました。

日本に来て程なくコロナ禍となり、一人で暮らすアパートと農場を自転車で往復する日々となりました。

カンジャナは2児の母でもあり、13歳と7歳の男の子をタイに残して技能実習にやって来ました。

コロナ禍はタイも同じで、日本にいる自分も心細いけれど、タイの家族が感染しないか気が気でない日々が続きました。

せっかく日本に来たのに、日本食を食べに行ったり観光地を案内したりできないまま2年が過ぎいよいよ今年は3年目、技能実習制度では3年間が一つの期限なのです。

 当初塚原牧場では2名の技能実習生を迎える計画を考えていました。

先ずは1人目を迎え入れて1年くらい経って慣れて来た頃、2人目を迎えられたらというものでしたが、コロナ禍と重なり2人目は入国ができずに1年以上が経過していました。

このままでは2人が同時期に仕事の引継をする期間も作れない、そんな不安がよぎりましたが、ようやく今年の5月に二人目の技能実習生ピントンが入国できて配属になったのです。

ピントンは26歳、タイでは通常ニックネームで呼び合うそうで「プー(蟹の意味)」というニックネームが付いていて、日本ではプーちゃんと呼ぶことにしました。

身長が146センチメートルと一番小さいスタッフでもあります。

小さくてもガッツがありパワフルで先輩のカンジャナに習って笑顔で仕事を始めています。

タイでは豚の仕事をしていたこともあり、人工授精などは教える事が無いほど上手で驚きました。

タイ語で細かく指導してもらえるピントンはみるみる仕事を覚えますが、2年半前のカンジャナは大変だったことでしょう。

社長の塚原から日本語で指導を受けていましたが、果たして最初はどの程度理解できたのか。

 ピントンはムードメーカーでもあります。

「お疲れ様です」「お昼ですよ」「母乳チェックお願いします」「発情来ないねぇ」など社長の口調を真似したりして、カンジャナを良く笑わせています。

カンジャナも毎日タイ語を話せるようになり、アパートでは一緒にお料理を作ったり、買い物に出かけたりとストレス解消にもなっているようです。

 この10月で帰国する先輩のカンジャナと過ごす半年はピントンにとってかけがえのない期間となることでしょう。

自分が先輩として次に入る新しい実習生に教えて行く、そんな仕組みが農場に定着して行くことを期待して。

そして私たちは3人目の技能実習生を新たに迎え入れる準備に入るのでした。

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# by meishanton | 2022-08-01 17:17
113.クローバー・ファームさん

 飼料用トウモロコシの栽培を始めて8年目、今年は様々な意味で節目の年になりそうです。

それは、地元茨城県境町で飼料用トウモロコシを栽培する農家さんが現れたことです。

その名前はクローバー・ファーム、高橋大希さんが代表を務める農業法人です。

 もともと梅山豚に与える飼料用米の田植えや稲刈りの作業を委託していたのがクローバー・ファームさんでした。

3年前からは飼料用トウモロコシの畑を耕したり、播種してもらったりと関係を続けてきました。

代表の高橋さんは、ユニークな経歴でも知られています。

実は彼はお婿さん、長年続く茨城の米農家に、東京に産まれて保育士をしていたのを辞めて就農したのです。

お子さんが4人いるので四つ葉のクローバーにちなんでクローバー・ファームと名付けたそうです。

先日5人目のお子さんが産まれ、PTAのお仕事やら、地元のお仕事やらに大忙し。

余談ですが、彼が東京産まれなのを役所の若手職員も気づいていないほど、地元に溶け込み茨城弁も上手なのです。

クローバー・ファームさんは米の他に、大豆やパン用小麦の「ゆめかおり」を生産しています。

ゆめかおりは地元茨城のセブンイレブンのパンにも使用されている人気急上昇のパン用小麦です。

そんなクローバー・ファームさんが、自らの畑の土壌改良のために選んだのが飼料用トウモロコシなのです。

トウモロコシは上に2メートルも伸びますが、実は地中にも同じ2メートルの深さまで根を張ると言われています。

トウモロコシを作ると自然と水はけが良くなるのです。

さらに、子実のみを利用するトウモロコシは茎や葉は畑に還元され、緑肥としての効果もあります。

そして驚いたのがその栽培規模です。私たちが0.5ヘクタールからなかなか規模拡大できずにいたのに、いきなり初年度7ヘクタールから始めると聞きました。

私たちの昨年の収穫量2.5トンの14倍、35トンの収穫を見込んでいるのです。

もちろん収穫されたトウモロコシは全量を梅山豚向けに販売してくれることになり、止まっていた時計が一気に動き出したそんな感じです。

梅山豚の飼料は年間300トン必要です。

今までの収穫量ではその1%すら賄えませんでした。

これで梅山豚の国産飼料比率もさらに上がる見込みです。

世界ではウクライナの戦争を機に食料危機が危惧されています。

日本の畜産飼料はそのほとんどを輸入に頼っていて、トウモロコシなどの飼料穀物が不足し輸入できなければ、国内で豚を飼育することができません。

日本でも食糧危機は他人事ではないのです。

そんな年に始まったクローバー・ファームさんとの飼料用トウモロコシの協業が、国産トウモロコシ市場拡大の初めの一歩になるようこれからも手を携えて進んで行くつもりです。

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# by meishanton | 2022-07-05 17:26
112.自動運転バスが拓く未来

 地元茨城県境町は自動運転バスの定時運行を日本で初めて行った自治体です。

2020年の運行開始当初1ルートでしたが、現在は2ルートに増やして定時運行しています。

自動運転と言っても様々なレベルがあります。

レベル1は運転支援、レベル2は部分運転自動化、レベル3は条件付き運転自動化となり、このレベル2から3が大きな分かれ目で「人」から「システム」へ運転の主体が転換すると言われています。

日本においては、20204月の道路交通法改正でレベル3が解禁され、市販モデルに搭載することが可能になりました。

日本車で初めてホンダがレジェンドに「Traffic Jam Pilot」を20213月に搭載して発売しレベル3時代に入りました。

しかし、レベル3は不確実な技術と言われてもいます。

それはレベル3に内在する人的要因があります。

一定条件下で自動運転を可能にするレベル3は、システムから手動運転の要請があった場合、ドライバーは速やかに運転動作を行わなければなりません。

しかし、過信や慢心により手動運転が行われなかったらどうなるのか?これが、レベル3が不確実な技術と言われる理由です。

一方自動運転レベル4は、緊急時にも運転手が対応せず、全てシステム側が自動運転の主体として責任を持つ事になります。

つまり、運転手は運転操作に参加する事は想定されていません。

ただ、レベル4の定義は「限定領域内」での自動運転とされているため、領域外で走行する場合に備えてハンドルやアクセルを搭載したタイプと、領域内に特化したタイプの2種類が想定されています。

前者は自家用車への導入が考えられていますが、より高度な技術とコストがかかることになります。

後者はあらかじめ定まった経路を走行するバスや、空港など特定エリアを走行する送迎車、タクシーなどに向いており、商用性もあることからレベル4の中心はバスやタクシーとなる可能性が高いのです。

この自動運転レベル4が可能なフランスナビヤ社の電動バスARMAを導入したのが地元境町です。

現在はオペレーターが同乗していますが、許可が下り次第いずれ無人での運行を予定しています。

さらに先日はスマートフォンアプリ「LINE」でバス停に自動運転バスを呼び出せる「オンデマンドバス」の実証実験を実施しました。

定期便のバス停16か所に加え新たに10か所のバス停を追加し、LINEのアプリで出発地と目的地、時刻を予約しバスを呼び出して乗車できるものです。

バスは3台あり、2台ある定期便以外の予備の1台を利用して「できるだけ早く病院へ行きたい。観光施設などを経由していると時間がかかる。」という意見を取り入れて目的地に直行できるオンデマンドバス実現に向けた実験に乗り出したのです。

益々進化する自動運転レベル4を多くの方々に体感してもらいたい、是非境町へ足を運んでみてください。

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# by meishanton | 2022-06-01 19:01 | 社長のコラム
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