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100.食の教養を深める

【安売りされる食品】

朝の新聞に入る折込広告でよく目にするのは「〇〇豆腐 ○○%引き」「卵 超特価〇〇円」「冷凍食品4割引き」等の食品の安売りです。人の身体を作る大切な食べ物なのに、安い価格についつい引き付けられるのも現実です。

 グローバル企業や大企業のおかげで、1年中トマトが食べられ、1年中サーモンが食べられ、1年中グレープフルーツが食べられます。そんな中で、季節感に彩られた日本の食文化が廃れてしまっているのも事実で悲しい気分になります。

【季節のいろどり】

 春には筍、花山椒、菜の花、新玉ねぎ、蛤、鰆、ホタルイカ

夏にはジュンサイ、トウモロコシ、ゴーヤ、ミョウガ、モモ、雲丹、鱧、鮎、

 秋には松茸、新米、栗、さつまいも、梨、秋刀魚、

 冬には松葉ガニ、白子、赤貝、牡蠣、鮟鱇、寒ブリ、フグ、クエ

 旬の味覚をその産地で味わったり、本当の贅沢を日本人は知っていたはずなのに、今ではそれを楽しみに来日する外国人観光客の方が、もしかしたら日本の季節感を楽しんでいるのではないでしょうか?

【料理を引き立たせる名脇役】

 食器も同様です。

 地方にはその地方の伝統的器や食器があります。六古窯と言われる信楽焼、備前焼、丹波焼、焼、瀬戸焼、常滑焼は900年以上の歴史があり現在も生産が続いています。飛鳥時代から始まったとされる越前塗、平安時代の遺跡からも発掘されている輪島塗、江戸切子等々、日本独特の食器が数多く存在しています。これら産地には産地ごとに歴史や物語があり、日本人として理解し大切にすべきものでもあります。しかしながら、近年焼き物の産地も売上が低迷していると聞きます。産地を担う職人も少なくなっているようで残念な事です。

【食文化の継承】

 長引くデフレの影響や実質賃金の低下もありファストフードや500円のワンコインランチなど安い料理で済ませがちな日本人、特に若者達が日本の伝統的な食文化を経験する機会も減っているのが事実です。食がいつの間にか作業のようにレンジでチンして短い時間で済ますものになり、食器もプラスチックの使い捨て、4割引きで購入するのが当たり前になった今だからこそ、日本人が遺すべき食文化についてもう一度考えてみる時期なのかもしれません。

(お知らせ)

 今回でコラムは100話の区切りを迎えました。これまでお付き合いいただきありがとうございます。

 今200号でコラムの連載はいったん休止させていただき、来月より「梅山豚のあしあと」(続編)を再開させていただきます。20094月から201012月までの合計21回連載した「梅山豚のあしあと」は、梅山豚のあゆみをさらに知ることができると好評の企画でした。その後の梅山豚をどうぞお楽しみに。


# by meishanton | 2019-10-24 18:51
99.働き方改革と職人技

 20194月より順次施行となる働き方改革法、その中で企業が優先的に対応すべき項目として、(1)有給休暇を5日以上取得できる体制の整備、(2)労働時間把握義務への対応があります。しかしながら問題点も指摘されています。

【残業代ゼロの衝撃】

働き盛りの40歳台50歳代では、残業代が入ることを常識として住宅ローンを組んでいる人が多くいます。しかし、残業代が急にゼロになったり急減したりすると、組んでいた住宅ローンが支払えなくなり、最終的には持ち家を売却して賃貸に移る人など、人生設計まで大きく変化してしまう事にもなっています。また、残業できないため家でこっそりたまった仕事をする人も増えているようで、新たな問題も発生しています。

【職人は育つのか】

働いた分だけ技術が蓄積する仕事、例えば料理人や寿司職人、鰻職人、陶芸家、大工、そして農家もそうです。「量が質を生む」の言葉の通りで、一人前になるまで何年もかかる職業があります。いわゆる職人です。養豚も繁殖~分娩~離乳~肥育と一通り覚えるまでに最低3年はかかります。早く一人前になろうとするには、人一倍努力をしなければなりません。つまり時間が必要になるのです。また、職人の仕事にはゴールがありません。何年も何十年もかかって一流と言われる職人になります。自分と向き合いながら、その技を磨き続けるのも果てしない時間のかかる作業です。

【日本での評価】

そんな何年もかかる職人技ですが、一般的にはあまり評価されないことが多いと感じます。一握りの職人しか食べていけない業界も多々あるようです。日本ではデフレ経済が長引き、お金に余裕のある人が少なくなりました。職人技への評価が高くないことは、その業界を目指す若者も増えません。

【外国人からの評価】

一方で外国人観光客のこうした職人技への評価は年々高まっています。小豆島にて木桶でつくる2年熟成の醤油蔵に観光客が大勢押しかけ、比較的高価な醤油から売れているようです。東京の高級寿司店や鰻店にも外国人が増えています。彼らは職人の技術や伝統を認めてその対価を支払っています。逆に日本人がその技術や伝統に無頓着なのを残念に思ったりします。

【根気との勝負】

長い年月の修業は技術の鍛錬もありますが、心の鍛錬でもあります。技術が習得できずくじけそうになったり、日々同じことの繰り返しにモチベーションを維持し続けるのも難しい時もあります。しかし、いつの日かその職人技が評価される日を夢見て修行を続けるのです。そんな根気の要る作業を今どきの若者がやりたいと思うのか?スマホで検索してすぐ答えが出る、苦労しなくても明日欲しいものが届く、最短ルートで目的地に向かえるなど、根気の要る作業が少なくなった現在だからこそ、そこにチャレンジする若者をしっかりと支え、継続できる環境を整え、日本の伝統や文化を守りたいと思っています。


# by meishanton | 2019-08-02 15:43 | 社長のコラム
ゴミはいくらだ?

530日は「ゴミゼロ」の日

1975年豊橋市民から始まった市民運動で「ゴミは自分で持ち帰ろう」というものです。公園や海水浴場、公共施設などでのゴミ処理費用の増加や景観の悪化により、ゴミの減量化=意識の向上も狙って始まったもので今では日本全国に広まっています。

 最近ではマイクロプラスチックの問題で、プラスチックストロー廃止の動きやプラスチックレジ袋廃止の動きなどが活発になっています。中国でのプラスチックゴミ輸入停止の衝撃も重なり、プラスチックゴミを減らそうという意識が世界中に広まっています。

地方自治体の努力

税金で行われるゴミ処理ですが、更にゴミ有料化に乗り出す自治体が後を絶ちません。現在では実に63.8%の自治体がゴミ有料化を行っているようです。ゴミ有料化の方法は、「指定のゴミ袋を有料で販売する」というやり方で、ゴミ袋価格は各自治体によって様々ですが、北海道えりも町が45リットル1200円と日本最高値のようです。

 ゴミ袋を有料化したからといってゴミ処理費用を全て賄えるという事はありません。しかし、自治体の財源が今後も厳しくなると予想される中、ゴミ袋を値上げして財源を賄い、ゴミ減量を市民に意識付けようとする動きは盛んになると予想されます。果たしてゴミ処理にはいくら必要なのでしょう?

首都東京のゴミの行方

 例えば燃やせるゴミの処理工程は、収集運搬、焼却処理、最終処分に大まかに分けられます。基本的にゴミは自地域処分の原則があり、広域でゴミ処理をすることはあっても、他の自治体にゴミ処理を委託する事はできません。人口減少社会の中、この自地域処分の原則を守りつつゴミ処理費用をどう捻出して行くのか?自治体の厳しい舵取りが予想されます。

 さらに、お金で解決できない問題も予想されます。いまだ有料ゴミ袋を販売していない東京23区、実は東京湾の埋立地の余力が残り50年と考えられています。自地域処分の原則をも揺るがしかねない未来、抜本的な解決策が必要になっています。

ゴミが資源に変わる日

 一方、ゴミを有効活用してゴミ処理費用を抑えようとする自治体も増えています。その一つが「サーマルリサイクル」というゴミ発電です。可燃ごみを燃焼して得られる高熱・高圧の蒸気でタービンを回す火力発電の一つです。これは廃棄物からエネルギーを創出することができるため、廃棄物処理コストを大幅に低減する事も可能な技術です。さらに、ゴミが排出されるエリアで発電する事は、電力需要地に近い場所で発電する事となり送電の無駄が無く効率が良いというメリットもあります。

しかしながら、現時点では塩素ガスによるダイオキシンの対策が不十分である事や、発電効率がまだ悪く想定の半分程度しか発電できていないという課題が残っています。こうした課題を克服し、費用を抑えながら安全なゴミ処理を実現して行くことは、今後世界が直面する課題として真っ先に日本が取り組むべきことのように感じています。


# by meishanton | 2019-07-24 18:40 | 社長のコラム
酒はSAKEに

【廃業する蔵元】

 かつて端麗辛口でいかに安く販売するか?ということで、本来の酒造りを忘れ醸造アルコールを多く入れた日本中同様の一般酒が売られました。それは大量生産-大量消費の日本の一時代を象徴するもので、醤油や味噌、家電などとも同様でした。しかしその時代が終わり、平成10年に全国で2229軒あった日本酒の蔵元は、平成28年には1433軒と18年間で実に56%も減少しました。当然ながら日本酒の出荷量も同様に減少しました。このまま日本酒離れが進んでしまうのかと思われた近年、平成29年においては一般酒以外の特定名称酒である、純米・特別純米・純米吟醸・純米大吟醸・大吟醸・吟醸・本醸造・特別本醸造の8種類が179千キロリットルと日本酒全体の3分の1を占めるほどになっています。

日本酒をめぐる業界に何が起きているのでしょう。

【ある酒蔵の改革】

それは伝統的だが革新的なものづくりと海外への販路拡大でした。

「獺祭(だっさい)」。山口県の旭酒造は日本酒を飲まない方にもその名前が知れ渡る純米大吟醸製造量日本一の酒蔵です。平成11年に杜氏が高齢で引退してから杜氏制を廃止し、さらに通年で仕込みを行うなどの改革を行い、製造する酒の全てを純米大吟醸にし、いち早く海外への輸出を手掛けるなど日本酒の復活をリードしてきました。

【挑戦する若き杜氏】

また、東京農業大学には醸造学科という日本でも珍しい学科があり、その卒業生たちの中には実家である老舗蔵元に戻って素晴らしい日本酒を造り出す杜氏として活躍し、蔵元を再建している人が増えています。その筆頭が山形県高木酒造の15代目高木顕統氏でしょう。ご存知の方も多い彼の造る「十四代」は今最も入手しにくい日本酒と言われ、フルーティで甘みと旨味のある大吟醸は出荷時の数倍の高値で取引されるほどになっています。

 「十四代」の成功を追って、様々な酒蔵が新しい日本酒をリリースし酒造りを競い合うようになっています。JALのファーストクラスの日本酒ラインナップにもそれは現れています。「十四代」を初め福井県黒龍酒造の「黒龍」や福島県廣木酒造の「飛露喜」など、日本酒ファンにはあこがれの銘柄が並んでいます。

【世界のSAKEに】

それでも国内で販売量を減らしている日本酒ですが、海外での評価は年々高まっています。それを裏付けるように、平成22年から平成30年の9年連続で輸出量が増加しています。この間の輸出量は2倍に、そして輸出金額は3倍に増加しています。輸出先はアメリカが最も多く、次いで中国・台湾・香港・韓国のアジアとなっています。海外での日本食ブームと重なってその勢いは今後も続きそうです。

酒はSAKEと表記され、これからは世界中のお料理に合わせて様々なシーンで提供されて行くことでしょう。若きSAKEの担い手たちに期待です。


# by meishanton | 2019-06-07 09:32 | 社長のコラム
魚は育てる時代へ

食の変化

2017年日本人1人あたりの魚介類消費量は年間24.4キロ と、ピークの2001年から4割も減少したそうです。

2011年には肉類に抜かれ、2017年肉類の消費量は32.7キロと8キロ以上の差となっています。

空前のお肉ブームと言われる昨今、震災以降特に魚介類の消費が減速した感じもあります。

一方で、長い行列を作る寿司店は多くありながら、スーパーの鮮魚売り場では「骨を取り除いています」などと食べやすさをアピールして消費を喚起しているのも現実で複雑な思いがします。

私たち日本人の食はどうなるのでしょう。

値上がりする魚

イカ、マグロ、サンマ、ウナギ、アワビ、カニありとあらゆる魚介類が値上がりしているのです。

実際近年日本では漁獲量規制や、周辺各国との資源争奪戦、地球規模の気候変動による海流の変化で魚介類の水揚げは減っています。

例えば今年の北海道の毛ガニ漁、前年も記録的な不漁と言われていましたが、今年はその前年のたった12%しか水揚げがないと報道されているほどです。

進む養殖技術

そんな中、世界では漁業への企業の参入が相次ぎ、ついに2013年には養殖量が漁獲量を上回りました。

回転寿司で1番人気のサーモンもそのほとんどがノルウェー等での養殖となっています。

日本でも海の養殖から陸での養殖まで様々なチャレンジが増えています。

人気のサーモンは、日本全国50箇所以上で養殖が行われているようです。

技術革新も盛んです。水を濾過して循環し、これまでの水使用量の100分の1を実現しコストも低く抑えているところもあります。

さらに、安全性も実は養殖の方が天然より高いという専門家もいます。

管理された綺麗な水や適切な餌により、寄生虫などの問題も回避できるのです。

漁業の未来

古来魚介類を食べてタンパク質を摂取してきた島国日本、様々な魚種を食べる豊かな食文化があります。

地元の資源を餌にしたブランド魚も出始めています。

海のない街の特産品が魚介類なんて、そんな時代も近づいているのかもしれません。

地域に根ざした育てる漁業にこれから注目です。



# by meishanton | 2019-05-08 09:20 | 社長のコラム
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