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カテゴリ:梅山豚のあしあと( 22 )
25百貨店の催事への出店

   東日本大震災から時間が経過しても、原発事故の風評被害が影響しているようで相変わらず梅山豚の受注は以前の水準を回復できないままでした。

   イーアスつくばでの直営店も閉店せざるを得ず、梅山豚の販売に苦戦していました。

   しかし考えました。

   梅山豚を知らない人はまだまだ多い。

   東京ではそれなりに認知度が上がって来ましたが、特に中部、関西、九州では知っている人が少ない。

   そんな事から、認知度を上げるために百貨店にて催事をさせていただこうと考えました。

   催事に立って梅山豚の安全性の説明をしながら直接お客様に語り掛ければ、突破口を見いだせるのではないか?

   との思いでした。

   そこで既に梅山豚肉を販売してくれていた実績のある百貨店にお声がけし、1週間の催事を試みる事になりました。

   初めての催事は驚きの連続でした。

   催事では朝礼で前日の売上成績が発表されます。

   するとどうでしょう、私の向かい側の「出汁」のお店がうちの売上の10倍をゆうに超えていたのです。

   ひっきりなしに来店客があり、まとめ買いをしている様子に釘付けになりました。

   しかし、その「出汁」のお店も10年前はこれほど売れる事は無かったそうです。

   お客様ひとりひとりとの信頼関係をコツコツと積み重ねる以外、催事には近道が無いことを教えられたようでした。

   大丸京都店、伊勢丹新宿店、松屋銀座店・・・そこからは社長自らが店頭に立って、肉まんや焼売、生ハムやソーセージ、キーマカレーなど梅山豚の商品を販売しました。

   一人一人に試食を手渡しながら梅山豚について説明をし、安全性をアピールする日々が続きました。 

   催事での手応えを掴みかけ、このまま毎月のようにどちらかの百貨店で催事をすることを検討していたその時、新たな試練に直面する事になりました。

   それは未知のウイルスによる被害の広がりでした。

   そのウイルスは農場の成績に大きなダメージを与え、一旦罹ってしまうと何度も何度も繰り返し猛威をふるうものでした。(注:これはPEDウイルスと言いここ5年間に国内で50万頭もの豚が死亡しています。)

   そのため、もし梅山豚が罹ってしまった場合の事を考えると社長が農場を離れ催事に出る事は難しくなりました。

   防疫体制の確立が最優先課題になり、養豚業界が新たなステージに入ったのを実感するのです。


by meishanton | 2020-02-07 19:15 | 梅山豚のあしあと
24人工授精の取り組み

山豚は世界一の多産系豚として知られています。

しかし現実には、多産の時もあれば少ない時もあり、

その多産の能力が発揮できているのか疑問な状態が長く続いていました。

さらに、受胎率も満足できる状況には無く、

悪い時には交配しても受胎しないケースが50%を超え

計画的に肉豚生産ができない時もありました。

これは梅山豚が日本に100頭程度という原種豚であり、近親交配の影響により

どうしてもその力を出し切れないという問題が起きていました。   

こうした問題を少しでも解決する方法を考えた結果、

それまでの雄豚×雌豚の本交から人間による精液注入の人工授精に切り替える決断をしました。

(豚では人工授精はまだあまり普及していません)

そこで平成252月人工授精を導入するべく部屋を作り、顕微鏡や、

精液を一定の温度に保って保存する機械等を揃えて行きました。

当初は精液を購入して注入する事から始めました。

始めた頃は精液が逆流したりしてうまく注入できず、時間がかかることも多かったのですが、

慣れるとスムーズに注入できるようになりました。

しかし、目標としていた受胎率90%を達成するには至りませんでした。

そこで、次のステップとして自分たちで雄から精液を採取する事に挑戦しました。

採取した精液の活性を顕微鏡でその都度確認し注入する事で、

雄豚のコンディションも把握する事ができるようになりました。

こうして根気よく試行錯誤を続けた平成30年、遂に年間通じて受胎率が90%という目標を

達成することができました。

さらに1回に20頭を超える分娩も出始め(一般の豚は約10頭)、

本来の多産系という梅山豚の能力を十分引き出すことに成功しました。

今から思うと「必然」だった人工授精への挑戦。しかし、スタッフが揃ってこそできる

根気の要る作業の連続でした。

人工授精の成功により、梅山豚の生産は新たなステージへと進むことになり、

大きな可能性も拓ける事となるのです。




by meishanton | 2019-12-11 18:44 | 梅山豚のあしあと
22.東日本大震災により放牧を休止

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2011311日午後、忘れもしません。これまで経験した事の無い激しい揺れに襲われた東日本、私たちは2階の事務所でミーティングをしていました。何とか1階に降り携帯電話で牧場スタッフの無事を確認しようとしましたが、携帯電話がつながりません。半年前に放牧場を拡張し、数名のスタッフが放牧場で作業をしていました。


その後、2日間の停電がありました。最も頭を悩ませたのは「水」でした。梅山豚は地下100メートルからの井戸水を飲んでます。しかし、電気が無いと井戸を汲み上げるポンプが動きません。水が出ないと、母豚は水を飲めず母乳出なくなります。肉豚も水が飲めないと餌を食べなくなります。何よりも大切な水・・・親戚の井戸まで水をいただきに行ったりもしました。停電が解消して水が出たあの感動は今でも忘れられません。


その後、停電が解消してテレビのニュースを見てからが本当の苦難の始まりでした。福島第一原発の事故により放射能が広範囲に飛散しました。拡張したばかりの放牧場の土からも微量の放射能が検出され、私たち20年以上続けて来た放牧を休止する決断をしました。


さらに、深刻だったのは風評被害です。茨城県産の梅山豚は、特に西日本のお得意様を多く失いました。信頼を回復すべく私たちは独自で全ての枝肉の放射能検査を行い、結果をFacebookで毎週公表してから販売しました。放射能汚染されていない事を証明しながらも注文のキャンセルが続く毎日は不安で一杯でした。


そんな中でも、応援して下さる梅山豚ファンの方々が多くいました。真剣に安全性をPRする私たちに新たなファンも現れました。苦しみから産まれた絆を強く実感した2011年は、私たちの再出発の年となりました。




by meishanton | 2019-10-25 19:07 | 梅山豚のあしあと
第19回~私達の目指すところ
私たち塚原牧場は何を目指して進んでいるのでしょう?
時々昇は考えます。

「梅山豚」は過去に沢山の養豚家が挑戦しました。
しかし皆ギブアップをした豚なのです。
それは、1産あたりの頭数が産まれすぎる事、だから未熟児が多い事、肺炎に弱い事、生育が遅い事、肉の歩留りが悪くコスト高になってしまう事、しかも豚肉規格に合わず「規格外」になって安くなってしまう事・・・・
これまでには、本当に沢山の困難がありました。
しかし、私達は長い時間をかけてその一つ一つの困難を解決する努力をしてきました。
誰もが「無理だ」と思った梅山豚は今、沢山のファンに囲まれ人気の豚肉になりました。
さらに、私達は自分で餌も作っています。しかもエコフィードという方法で。

大手飲料メーカー製麦茶の麦茶粕の飼料化を始めた1997年、
誰もが「餌を手がけるなんて馬鹿なこと」と思っていました。
さらに、私達は梅山豚の肉を自ら販売しています。
百貨店を訪ね、料理店に通い、本当のファンを増やす努力をしてきました。
そう、私達が大切にしているのは「挑戦する心」なのです。

しかし、挑戦するだけでは今の私達はありえません。
挑戦する私達を応援してくれる「ファン」と「取引先」が無くては成り立ちません。
「梅山豚」は日本にわずかしかいません。近親交配で純血種は絶滅するかもしれません。
しかし、「挑戦する心」と、素晴らしい「ファン」と「取引先」があれば、
梅山豚がもし絶滅する事になっても、必ず私達は再び歩み続けられると信じています。
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by meishanton | 2010-12-27 14:57 | 梅山豚のあしあと
第18回~販売のあしあと その6 
社長の昇は最近よく聞かれる事があります。
それは「インターネットで売っているんですか?」 

知名度が少し上がってきた「梅山豚」ですが、一般の人にその購入方法はよく知られていないようです。
インターネットを利用して販売する事はずっと社内で検討していますが、まだ行ってはいません。

これまで私達はファンを大切にしてきました。売れない時代を支えてくれたのも熱いファンでした。ファンが新しいファンを連れてきてくれました。まさに「口コミ」です。
本当に梅山豚を気に入った人が、その思いを伝えて新しいファンが産まれる。
それは、梅山豚倶楽部ばかりではありません。
デパ地下の販売員さんや、レストランのシェフやスタッフにも梅山豚ファンが多いのです。
梅山豚や、梅山豚のお料理を説明する言葉に愛情がこもります。
そんな沢山の熱いファンに支えられ今があります。

インターネットで本当に「梅山豚」を理解していただけるファンが集まるのだろうか?インターネットで販売をしても、今までのファンはファンで居続けてもらえるのだろうか?大切なファンを第一に日々自問自答する昇です。
実は結論が出ています。

「梅山豚」は一過性のお客様中心に販売をする事はしません。
ずっと買い支え続けていただいているファンがいて成り立つからです。
インターネットとは、そんな私達の「梅山豚」にかける強い想いを発信する場だと昇は考えています。
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by meishanton | 2010-11-25 13:33 | 梅山豚のあしあと
第17回~「ファーマーズマーケット」で販売
2009年、社長の昇はファーマーズマーケットに積極的に出店しはじめました。
ファーマーズマーケットとは?
全国各地で行われている生産者直売の市場のことを言います。
野菜や果物、味噌や醤油そして酒、たくさんの生産者に混じって販売をします。

冬は定番の『肉饅頭』。可能なところには5段の蒸籠を持ち込み、熱々の肉まんを販売します。
「皮がもちっとしていて、これって老麺練りとうい製法の生地でしっかりしているんですよ!」
「具と皮の比率は限界の5対5、梅山豚の旨味たっぷりですよ!」などと、威勢良く販売していきます。

昇が「ファーマーズマーケット」に出店するのには様々な意味がありました。
売り上げや宣伝という面ももちろんあります。しかし、それ以外に、特に若いスタッフには自分で生産したものを自分で販売する喜びを知ってもらいたいということがあります。
「どこで生産しているの?」
「お肉はどこで買えるの?」
「レストランではどこで食べられるの?」などの会話から、興味を持ってもらえる喜びがあり、
「美味しかった」という言葉が、また明日から仕事を頑張ろうと、やる気を起こさせてくれます。

そう、若いスタッフには、ファンに支えられて初めてこの仕事が成り立つ事を理解してもらいたいのです。今のところ、昇の思惑はうまくいっているようです。
心なしか翌日からのスタッフの動きがいきいきしているように感じられています。
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by meishanton | 2010-10-12 10:06 | 梅山豚のあしあと
第16回~販売のあしあと~「レストラン」へ販売
2003年、梅山豚に一つの転機が訪れます。
社長の昇はある知人を介して、中華料理のシェフ脇屋友詞氏にお目にかかることになりました。
シェフのお料理をいただいた後、梅山豚の説明をしました。
シェフは梅山豚をよくご存じで、是非梅山豚を使って東坡肉(トンポーロー)を作りたいとの事で、納品をすることになりました。
バラ肉を納品をすると「脂がのっていて特においしい東坡肉ができた」との事でした。
これまで梅山豚は脂が多くて、それがクレームの原因でした。しかし、その脂が多いのを喜んでくれる方がいるとは・・・・

ヒントを得た昇はレストランにアプローチを始めました。
実際に数々のシェフにお会いして話をしてみると、皆さん梅山豚に興味を持ちました。
そして驚くことがおきます。次々に注文が入ってきたのです。
あるシェフはヒレかつがこんなにジューシーとは、またあるシェフはしゃぶしゃぶから出た肉汁で〆の雑炊まで美味しい、他にも香りが良い、あっさりしていてしつこくない、とろけるようだなど、梅山豚の脂に対する評価はシェフの間ではとても高いものでした。

これまで梅山豚肉の脂の多さは短所と昇は考えてきましたが、逆に長所であるという事を教えてくださったシェフの方々に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そして、梅山豚の美味しさは全国のシェフに継続して使っていただいている事が何よりの証明だと考えられるようになっていきました。
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by meishanton | 2010-09-14 18:33 | 梅山豚のあしあと
第15回~販売のあしあと~『デパ地下』で販売
2001年、日本の畜産業界が凍りつきました。BSEが国内で発生したのです。
連日放映される起立不能の牛の映像に、消費者の買い控えがおきました。

牛肉に代わるものとして豚肉や鶏肉の需要が高まり、その中で百貨店では銘柄豚を取り上げて販売するようになっていきました。
それまで梅山豚を百貨店に営業していた昇ですが、梅山豚の知名度の低さと、黒豚をはじめライバル銘柄豚の多さに断られてばかりでした。
しかし、ある日突然百貨店のバイヤーから電話をいただきました。「梅山豚を仕入れたい」と。
話を聞いてみると、お客さんから「梅山豚という豚があるから探して取り扱ってほしい」との声が多数寄せられているようでした。TVや雑誌で取り上げられる梅山豚は、その希少性や安全性から「食べてみたい豚」となっていたようです。

時に「デパ地下ブーム」と言われ、「梅山豚」は百貨店が特別に取り寄せた期間・数量限定の商品として、デパ地下で注目を集めていきました。
現在でも、北は札幌から南は九州小倉まで、全国の百貨店で「梅山豚」が期間限定販売されています。
販売予定を事前にお知らせすると、予約を入れる梅山豚ファンが増えているとも聞きます。

着実に梅山豚ファンが増えるにつれ、昇はファンに愛されることがありがたいことを実感していきました。
こうした梅山豚ファンのためにも、さらに納得のいく品質をお届けすることに昇はスタッフ一同と邁進していくようになりました。
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by meishanton | 2010-08-24 11:25 | 梅山豚のあしあと
第14回~販売のあしあと
テレビ出演や雑誌取材が増えるにつれ、「梅山豚」へのお問い合わせが増えてきました。
そこで社長の昇は「50人で1頭を丸ごといただきましょう」とスタートしたそれまでのファンクラブ「自然とふれあう会」を、現在の『梅山豚倶楽部』としてリニューアルをしました。

『梅山豚倶楽部』は入会金や会費はいただきません。
梅山豚肉を毎月定期購入いただく事だけが条件の会員組織にしました。
「梅山豚」を気軽に楽しんでいただきたいという思いからです。

会員さんは、北は北海道から南は鹿児島まで広範囲にわたりお届けしていきました。
また、会員さんに向けて牧場の様子をお知らせするため、会報誌「梅山豚倶楽部通信」を毎月発行し、梅山豚肉と一緒にお届けしました。

毎月お届けをしていると、沢山の生の声もいただきます。
「香りがいい」「脂が甘い」「しつこくない」といったお褒めの言葉から、「脂が多い」「形が悪い」などの満足できない言葉まで、昇のもとにはファンから沢山お便りが届きました。
その全てに目を通すと、梅山豚の特徴や、問題点を再確認することができました。
そして、それらのファンの声は「梅山豚」の生産や飼料の製造に生かす事ができました。
ファンとともに歩み、ファンの声を生産活動に生かして行くことができること、それが「梅山豚」の強みになっていきました。
昇は気づき始めます。「梅山豚」を愛してくれるファンが大切だと言うことを。
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                     ↑当初の会報誌「梅山豚倶楽部通信」
by meishanton | 2010-07-13 11:34 | 梅山豚のあしあと
第13回~販売のあしあとその1 TV出演
平成13年9月、梅山豚の転機となる出来事がおきます。
それはテレビ出演の依頼でした。しかも究極の豚肉として30分間「梅山豚」を特集するというものでした。

相変わらず販売に苦戦していた昇は出演を快諾します。
撮影隊が牧場に入ったのは真夏、しかも1週間泊まり込みという過酷なものでした。
梅山豚を撮影し、会長夫妻のインタビューを撮り、そして最後には役者さんが牧場に来て再現ドラマを撮影しました。
梅山豚に賭ける思いや、梅山豚導入時の苦労、昇が後継者として茨城に戻ったときの会長夫妻の喜び、梅山豚が売れない苦労・・・・・
撮影が進むにつれ、撮影隊にも気持ちが入っていくのが感じられる1週間でした。
 
最後にスタジオ撮影、VTRを見ながら司会の徳光さんの目には感動の涙が・・・・
結果、テレビ放映中から大変な反響でした。
事務所の電話は約2週間鳴り止まず、お届けまで最大6ヶ月もお待ちいただくお客様まで。
その時、梅山豚をお届けしたお客様の多くが「おいしかった」と再注文をしてくれました。
昇はファンの大切さを改めて知り、「梅山豚」の物語を正確に伝えてくれたテレビスタッフに感謝しました。

翌平成14年7月、今は終了しているテレビ番組「どっちの料理ショー」に特選素材として出演を果たし、知名度はさらに向上していきました。
その後も、「梅山豚」には沢山のTV出演の依頼や、新聞、雑誌の取材申込みが来るようになりました。

昇は、考えていました。「梅山豚をずっと継続していくためには何が大切なのだろう?」 
品質も大切です。
種の保存も大切です。
現場を担うスタッフも大切です。
しかし、最も大切なものがあることが少しずつ分かってきていました。
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by meishanton | 2010-06-18 18:48 | 梅山豚のあしあと

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