東日本大震災は私たちにとって大きな転機になりました。
西日本のお客様からのキャンセルが増え、東京周辺は計画停電もあり
自粛ムードが広がり梅山豚の受注は低調になりました。
しかしながら、梅山豚は既に産まれて元気に生育しています。
そこに舞い込んできたのがイーアスつくばというショッピングセンターへの出店です。
直営店は初めての経験でしたが思い切って出店を決断しました。
減ってしまった受注で梅山豚に余剰が生じ始めていたのです。
お店では肉や加工品を販売し、その奥にはイートイン12席を設けました。
おなじみの点心やミックスフライ、蒸篭蒸しやキーマカレー、
豚丼など週替わりの1品メニューを設定し8週間の期間限定で提供しました。
初日は来店客も少なくどうなる事かと不安になりましたが、日を追うごとに来店客が増え、
週替わりメニューを全て制覇する常連さんまで現れました。
私たちは開店前にお店の新しいスタッフと誓っていました。
今日の売り上げは追わない事、そして未来のファンを増やす事を。
そんな私達の想いは伝わり、12席のイートインには連日100名超の来店があり
大賑わいになりました。
ラヂオや新聞、ツイッターなど多方面で取り上げられ、
最終日には閉店を惜しむ声を多く聞くことができました。
しかし、つくばでの直営店に注力すればするほど、牧場の成績は悪くなって行きました。
種付け成績は下がり、子豚の死亡は増え、社内のムードもギスギスして、牧場スタッフの
不安は増し、退職する者まで。
何をやっているのだろう・・・。
浮足立った初めての直営店は大きな反省を抱えながら8週間で閉店となりました。
夢だった直営店は現実から夢にまた逆戻り、自分たちで育てた梅山豚を自分たちの手で販
売するという設立当初からの目標はまだまだ遠かった事を実感するのです。
【安売りされる食品】
朝の新聞に入る折込広告でよく目にするのは「〇〇豆腐 ○○%引き」「卵 超特価〇〇円」「冷凍食品4割引き」等の食品の安売りです。人の身体を作る大切な食べ物なのに、安い価格についつい引き付けられるのも現実です。
グローバル企業や大企業のおかげで、1年中トマトが食べられ、1年中サーモンが食べられ、1年中グレープフルーツが食べられます。そんな中で、季節感に彩られた日本の食文化が廃れてしまっているのも事実で悲しい気分になります。
【季節のいろどり】
春には筍、花山椒、菜の花、新玉ねぎ、蛤、鰆、ホタルイカ
夏にはジュンサイ、トウモロコシ、ゴーヤ、ミョウガ、モモ、雲丹、鱧、鮎、
秋には松茸、新米、栗、さつまいも、梨、秋刀魚、
冬には松葉ガニ、白子、赤貝、牡蠣、鮟鱇、寒ブリ、フグ、クエ
旬の味覚をその産地で味わったり、本当の贅沢を日本人は知っていたはずなのに、今ではそれを楽しみに来日する外国人観光客の方が、もしかしたら日本の季節感を楽しんでいるのではないでしょうか?
【料理を引き立たせる名脇役】
食器も同様です。
地方にはその地方の伝統的器や食器があります。六古窯と言われる信楽焼、備前焼、丹波焼、焼、瀬戸焼、常滑焼は900年以上の歴史があり現在も生産が続いています。飛鳥時代から始まったとされる越前塗、平安時代の遺跡からも発掘されている輪島塗、江戸切子等々、日本独特の食器が数多く存在しています。これら産地には産地ごとに歴史や物語があり、日本人として理解し大切にすべきものでもあります。しかしながら、近年焼き物の産地も売上が低迷していると聞きます。産地を担う職人も少なくなっているようで残念な事です。
【食文化の継承】
長引くデフレの影響や実質賃金の低下もありファストフードや500円のワンコインランチなど安い料理で済ませがちな日本人、特に若者達が日本の伝統的な食文化を経験する機会も減っているのが事実です。食がいつの間にか作業のようにレンジでチンして短い時間で済ますものになり、食器もプラスチックの使い捨て、4割引きで購入するのが当たり前になった今だからこそ、日本人が遺すべき食文化についてもう一度考えてみる時期なのかもしれません。
(お知らせ)
今回でコラムは100話の区切りを迎えました。これまでお付き合いいただきありがとうございます。
今200号でコラムの連載はいったん休止させていただき、来月より「梅山豚のあしあと」(続編)を再開させていただきます。2009年4月から2010年12月までの合計21回連載した「梅山豚のあしあと」は、梅山豚のあゆみをさらに知ることができると好評の企画でした。その後の梅山豚をどうぞお楽しみに。
1月29日に開店することが出来ました。
お店の名前は「つかはら肉店」。
もちろん梅山豚の全商品を買う事ができるお店です。
そしてなんと開発中だったメンチカツもこの「つかはら肉店」で新商品としてデビューする予定です。
まだ開発中なので販売は少し先になりそうですが、「つかはら肉店」では調理販売も行いますので揚げたてのメンチカツを頂く事も出来ます。
もちろんテイクアウト用の準備もしています。
当面の間は平日の3時30分から7時30分までの営業です。
お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
インターネットの普及は私達の生活を大きく変えています。
検索すればありとあらゆる情報が手に入り手のひらの中で読むことができ、人間では不可能な膨大なデータも覚えることができます。
誰もが人気のレストランを検索して行くことができ、美味しい料理の作り方を調べることができ、きれいな写真を撮ってSNSで公開したりすることもできます。
こんな風に誰でも何でもできる世の中になると私達はどういう行動をとるのでしょう?
例えばレストランでは、Aという店もBという店も人気の同じワインを揃え、人気の熟成肉を焼き、人気のスイーツを売りにするといったように、情報が瞬時に広がるとレストランも同質化して行きます。
そして価格もほぼ同じなんてなると私達はどうやって店を選ぶのでしょう?
それは「人」です。
人と人が唯一の選択手段となって来ると感じています。
あのお店は感じのいいサービスマンがいるから。
あのお店のオーナーは知り合いだから。
あのお店の被災地支援の取り組みに心打たれたから。等々。
そんな風にお店を選択して行くようになるでしょう。
情報が氾濫する世界はますます平均化し、どこでも似たり寄ったりの状況が出始めます。
しかし、最終的に私たちは「人」と「人」という昔から変わらない普遍的な選択をよりするようになって行くように思います。
いくらインターネットが普及し、AIが発達しても結局世の中は人と人なのです。
梅山豚はどこで買えるのというお問い合わせをよく頂きます。
お問い合わせを頂いても、梅山豚を買うことが出来るのは殆どが東京都内の百貨店か地元境町の道の駅。
中には牧場に行けばお店があってお肉を買う事ができるのかしら?と思われる方も多く、遠方から車で何時間もかけていらっしゃっていただく事も。
そんな時に私達の店で梅山豚を良く知るスタッフと会話をしながら梅山豚を買える所があればもっとたくさんの方に喜んでいただく事が出来るのに…
と長年の夢だった梅山豚の直営店。
物件探しから始まり現在工事中です。お店の名前もこれからです。
ずっとずっと願っていた直営店、ようやく夢が実現しそうです。
トランプ大統領の就任以来、世界情勢は不確実性をさらに増して来たと感じます。
北朝鮮、メキシコ、イランとの緊張関係は続き、最近では中国との貿易戦争が激しさを増しています。アメリカと中国の覇権争いと言われるこの貿易戦争は主にハイテク分野ですが、実は農産物でも熾烈な駆け引きが繰り広げられています。
2015年世界の豚肉の生産頭数は年間12億頭、その中で7億頭を生産するのが中国です。
しかし、2015年を境に自国での生産では追い付かず、約280万トン(=4000万頭)の豚肉を輸入しました。
もちろん約130万トンの豚肉を輸入する日本を抜いて世界最大の豚肉輸入国となっています。
その象徴が2013年にアメリカ最大の豚肉工場であるスミスフィールド社を中国企業が4750億円もの金額で買収したことです。
これにより現在では大量のアメリカ産豚肉が中国へ輸出されることになりました。
さらに、豚肉の生産に欠かせないものがトウモロコシと大豆です。
特に大豆は世界最大の輸入国になったのが中国で、2016年には8000万トン以上を輸入し、その約40%をアメリカから輸入しています。
大豆はサラダ油を搾油した後の「大豆粕」が豚の飼料には必須となっています。
以上の豚肉とそれを生産するための大豆が米中貿易戦争による関税引き上げにより滞り始めたのです。
中国人にとって豚肉は最も重要な食料です。
近年の経済発展により豚肉消費の増加に生産が追い付かず、輸入を増やして切り抜けてきました。
そんな中、密かに進む中国の豚肉不足、それは中国のインフレへとつながって行くような予感です。
食は全ての基礎です。
この豚肉危機が中国の政治不安に発展しないか?ハイテクばかりではないアメリカ対中国の覇権争いに、日本でも目が離せません。
地域の皆さんから「次はいつやるの」と言う声をたくさん頂き、第2回あおぞら市を開催しました。
開催したのは年の瀬の12月22日。
年末で忙しいのでは?
三連休の初日ではお客様が来てくれないのでは?
クリスマスには豚肉は食べないのでは?
など打ち合わせを重ね、それでも地域の皆さんに喜んでもらいたいという思いから開催を決定しました。
また前回準備した2頭分のお肉は開始から30分で完売してしまった事から今回は倍の4頭分を準備しました。
対応するスタッフの数も増やし準備万端で挑みました。
寒空の中、開始時間よりも早く長い列を作ってお待ちいただくお客様に感謝の気持ちを込めてスタッフ一同販売させていただきました。
不定期で販売するあおぞら市ですが地域貢献として定着していく事を願っています。
豚の餌はそのほとんどが外国産です。
トウモロコシと大豆粕を中心に95%以上輸入穀物からできています。
国産豚肉と言っても、食料自給率にカウントされないのもこれら飼料原料が外国産だからです。
輸入穀物は収穫時期が古いものが多いのですが、それは農家が収穫したトウモロコシを巨大なサイロで(長期)貯蔵し、トウモロコシ相場の高い時期に放出(販売)するのが一般だからです。
1年から2年という長期間の貯蔵には「虫」や「カビ」の問題がつきもので、そのため防虫剤や防カビ剤が使われています。
これがいわゆる「ポストハーベスト」で、豚や牛や鶏を通じて人体に影響しているのではと懸念されています。
梅山豚は当初から「地球を救う豚」として、このポストハーベスト問題に取り組んで来ました。
当初は「麦茶の絞り粕」や「おから」や「パスタ」などの食品を餌にしてきましたが、8年前に茨城県内の農家と「飼料米」に取り組み始めたことをきっかけに、「大麦(栃木県産)」「小麦(埼玉県産)」「ふすま(国産)」「脱脂糠(国産)」と次々に国産飼料原料を餌にすることに成功しました。
さらに自らトウモロコシの生産にもチャレンジして、この度ついに国産飼料比率50%を達成しました。
トウモロコシの取り組みを始めて4年目。
刈り取りが行われたのは台風が過ぎ去った9月6日。
飼料用のトウモロコシは実をカラカラに乾燥させてから刈り取ります。
今年の夏の暑さで実がきちんとできているか、台風の後だったので倒れたり水分量が上がっていないかなど心配されましたが、今年も無事に刈り取ることができました。
刈り取った直後にトウモロコシの実の水分量を計ったところ18パーセントでした。
刈り取りに立ち会って下さった方からおぉ~という歓声が上がるほどでした。
トウモロコシ畑の周りが水田で水量の調節が出来た事と風通しが良かった事などが重なり今年のトウモロコシは過去最高の出来になったそうです。
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