酒はSAKEに |
【廃業する蔵元】
かつて端麗辛口でいかに安く販売するか?ということで、本来の酒造りを忘れ醸造アルコールを多く入れた日本中同様の一般酒が売られました。それは大量生産-大量消費の日本の一時代を象徴するもので、醤油や味噌、家電などとも同様でした。しかしその時代が終わり、平成10年に全国で2229軒あった日本酒の蔵元は、平成28年には1433軒と18年間で実に56%も減少しました。当然ながら日本酒の出荷量も同様に減少しました。このまま日本酒離れが進んでしまうのかと思われた近年、平成29年においては一般酒以外の特定名称酒である、純米・特別純米・純米吟醸・純米大吟醸・大吟醸・吟醸・本醸造・特別本醸造の8種類が179千キロリットルと日本酒全体の3分の1を占めるほどになっています。
日本酒をめぐる業界に何が起きているのでしょう。
【ある酒蔵の改革】
それは伝統的だが革新的なものづくりと海外への販路拡大でした。
「獺祭(だっさい)」。山口県の旭酒造は日本酒を飲まない方にもその名前が知れ渡る純米大吟醸製造量日本一の酒蔵です。平成11年に杜氏が高齢で引退してから杜氏制を廃止し、さらに通年で仕込みを行うなどの改革を行い、製造する酒の全てを純米大吟醸にし、いち早く海外への輸出を手掛けるなど日本酒の復活をリードしてきました。
【挑戦する若き杜氏】
また、東京農業大学には醸造学科という日本でも珍しい学科があり、その卒業生たちの中には実家である老舗蔵元に戻って素晴らしい日本酒を造り出す杜氏として活躍し、蔵元を再建している人が増えています。その筆頭が山形県高木酒造の15代目高木顕統氏でしょう。ご存知の方も多い彼の造る「十四代」は今最も入手しにくい日本酒と言われ、フルーティで甘みと旨味のある大吟醸は出荷時の数倍の高値で取引されるほどになっています。
「十四代」の成功を追って、様々な酒蔵が新しい日本酒をリリースし酒造りを競い合うようになっています。JALのファーストクラスの日本酒ラインナップにもそれは現れています。「十四代」を初め福井県黒龍酒造の「黒龍」や福島県廣木酒造の「飛露喜」など、日本酒ファンにはあこがれの銘柄が並んでいます。
【世界のSAKEに】
それでも国内で販売量を減らしている日本酒ですが、海外での評価は年々高まっています。それを裏付けるように、平成22年から平成30年の9年連続で輸出量が増加しています。この間の輸出量は2倍に、そして輸出金額は3倍に増加しています。輸出先はアメリカが最も多く、次いで中国・台湾・香港・韓国のアジアとなっています。海外での日本食ブームと重なってその勢いは今後も続きそうです。
酒はSAKEと表記され、これからは世界中のお料理に合わせて様々なシーンで提供されて行くことでしょう。若きSAKEの担い手たちに期待です。
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