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122.インバウンドと日本の魅力

 新型コロナウイルスにより落ち込んだ訪日外国人、いわゆるインバウンド消費が回復してきました。

20231月の訪日外国人はおよそ150万人で、コロナ前の20191月比で56%となり、中国本土以外からの訪日外国人に限れば76%にまで回復しました。

順調に行けば年2000万人台も可能で、小売りや観光関連の消費復活が期待されます。

政府は「観光立国推進基本計画」を閣議決定し、2025年に訪日客の1人当たりの消費額を20万円と、2019年から4万円あまり引き上げる目標をたてました。

円安は消費単価向上の追い風ですが、滞在日数を増やし、富裕層を取り込むことが欠かせません。

現に梅山豚のお取引レストランでも外国人のゲストが増えているそうで、メニューを値上げしたという話もよく聞きます。

 そんな中、懸念されるのは人手不足でしょう。

客室稼働率が高まるホテル業界では、清掃や配膳をする従業員が足りず目一杯予約を入れられない状況もあるようです。

アルバイトの採用条件を緩和したりしていますが十分な採用には至っていないようです。

飲食業界でも同様で、賃金の日払いをしたり短期雇用を行ったりあの手この手での採用合戦が展開されています。

日本の魅力の一つでもある「おもてなし」が十分にできない状況は、インバウンドを増やしたい日本の抱える最大の問題でもあります。

今後、130万円の壁と言われているパートアルバイトの時間的な働きにくさをいよいよ改善する時が迫っているのかもしれません。

 さらに、滞在日数を増やすには地方へ足を伸ばしてもらう事が必要です。

ニューヨーク・タイムズ紙が2023112日に発表した「2023年に行くべき52か所」に、岩手県盛岡市がロンドンに次ぐ2番目に選ばれたことは、そのモデルケースにもなりそうです。

以下盛岡市を推薦した作家で写真家のグレッグ・モドさんの推薦文から抜粋します。

 「東京から新幹線ですぐ行ける、人混みなく歩いて回れる宝石的スポット。

これまで岩手県の盛岡市は通過され見過ごされてきた。

市街地は街歩きにとても適している。

大正時代に建てられた西洋と東洋の建築美が融合した建造物、近代的なホテル、歴史を感じさせる旅館、蛇行して流れる川、城址公園などの魅力にあふれる。

また、日本のコーヒーのサードウェーブの一つであるNAGASAWA COFFEEBOOKNERDでは日本の年代物のアートブックを販売、そして40年以上の歴史を持つジャズ喫茶ジョニー、車で1時間も行けば、田沢湖や世界有数の温泉が多数ある。」

 上記文章からはグレッグ・モドさんの盛岡愛が伝わる素晴らしい推薦文で、日本人として嬉しいです。


しかし私たち日本人はあたりまえの日本の歴史や文化に日々浸っているからか、その魅力にあまり気付いていないようです。

盛岡だけじゃありません。

日本中に歴史や文化に根付いた魅力的な「もの」や「こと」があります。

インバウンドは外国人から私たち日本人が日本の魅力を再認識する機会となりそうです。


# by meishanton | 2023-05-08 18:16
121.エッグフレーション

 202223年の冬は鳥インフルエンザが猛威を振るっています。

2023220日時点で、25道県76事例発生し、約1478万羽が殺処分され過去最多を記録しています。

そのうち採卵鶏は1385万羽に上り、全国で飼養されている採卵鶏約13700万羽の1割以上が処分となっているのです。

こちら茨城県は卵の生産が日本一ですが、100万羽を超す大規模の養鶏場での発生が3例目となりました。

最近ではお隣の市町でも発生が相次ぎ、自衛隊と県の職員ばかりでなく、災害協定を結ぶ地元の土建業者や畜産業者にまで応援要請が来て、ウイルスを拡げない速やかな処分に地域一丸となって協力しています。

 世界的にも鳥インフルエンザは猛威を振るっています。

アメリカでは日本をはるかに上回る4300万羽の採卵鶏が死んだか殺処分されており、大幅な供給不足に陥っています。

このため卵の価格は対前年比で210%も上昇して160円ほどになり、卵(エッグ)と価格上昇(インフレーション)を足したエッグフレーションという造語まで登場するほどだそうです。

 また、アメリカに限らずフランスでは418件、韓国では99件と日本を上回る発生件数を記録しており渡り鳥が帰って行くゴールデンウィーク頃までは厳重な警戒が必要です。

 高病原性鳥インフルエンザH5N1は鳥ばかりか人に感染するのでは?という疑いから恐れられてきましたが、まだその段階に入ったとは言えません。

しかし、南米ペルーでは3000頭を超えるアシカが鳥インフルエンザのために犠牲になっています。

これは哺乳類にも感染するという事実となりました。

さらにスペインでもミンクに感染しているのが明らかになり、確実に人に近づいていると推察されます。

コロナウイルスに続くパンデミックが鳥インフルエンザで起きるのか、注視する必要があります。

こうしたことから、日本でも卵が値上がりしています。

東京の卵の平均卸価格は335円と過去最高に達し、品不足ばかりか卵を使った商品の販売を休止する動きが起きています。

梅山豚肉を卸すレストランでも卵の仕入れ値は1パック500円を超えたという話が聞こえています。

物価の優等生として私たちの生活を支えて来た卵は、飼料価格の高騰とも相まって一気に贅沢品へとなるのかもしれません。

しかし、その栄養価から卵の価格はこれまで少し安すぎたのかもしれません。

親鳥まで感染したため雛の供給にもブレーキがかかり卵の品不足は1年程度続く見通しで、再び渡り鳥の季節が訪れそうです。

卵の価格はもう元には戻らない、そんな予測すら現実味を帯びています。

命をいただくことに感謝をすることを改めて卵から教わっているようです。


# by meishanton | 2023-04-06 14:26
120.温泉大国日本の未来

 日本は温泉大国と言われています。

宿泊施設を伴う温泉地は2971か所、源泉総数は約28000を数え、もちろん世界一です。

宿泊施設総数は13050軒、延べ宿泊利用人員は12653万人で、調査した2020年は国民の全員が年に1回温泉に宿泊していることになります。

しかし、この日本人が大好きな温泉に異変が起きています。

それは温泉の温度が下がり湯量がいたるところで減っているのです。

そもそも温泉とは何でしょう?

古来から日本人が文化として育んできた温泉とは、地中から自噴していて、湯に溶け込んだ様々な成分により、入浴する人に様々な健康効果をもたらす「大地の恵み」でした。

科学的には証明されていなかった古来より人々は経験によって病気の治療や疲労回復などに利用してきたのが湯治です。

しかし、今の日本の温泉は1980年代から90年代のバブル景気に行われた「ふるさと創生事業」と「大型温泉施設」により姿を変えて行きました。

「ふるさと創生事業」は1988年頃から地域振興の名のもとに地方に1億円が交付された政策で、温泉井戸を掘ろうとする自治体が多く現れました。

1000メートルに1億円という費用で無理な掘削をし、湯量の少ない温泉をつくりました。

また「大型温泉施設」もバブル景気に乗じて全国の温泉地で大型の温泉施設が建てられました。

大量の温泉を使うので温泉の量がそもそも足りないところも多く、加水・加温・循環ろ過が当たり前になりました。

こうして大深度からポンプで大量にくみ上げる無理のある温泉が全国で増えたのです。

温泉とは限られた資源で石油と似ています。

何百年、何千年もかけてつくられたものですが、溜まり温まるより多くくみ上げたら温度が下がりいずれ無くなるのです。

日本最大の湯量を誇る別府温泉では温泉の湯量低下などを分析し、泉温が100年後どうなるのかというシミュレーションを行っています。

大分県はこの調査を受け、新たな掘削を認めない特別保護地区を別府市に2か所追加しました。

もう「湯水のごとく」という言葉は当てはまりません。

限りある資源を有効に活用し、地熱発電やその冷却水でエビの養殖や農業を行うなど、温泉を地域資源として持続可能な形でいかに活用していくのかが問われています。

アフターコロナによるインバウンドの増加が現実となる2023年、多くの外国人が日本の文化である温泉を求めて来日するでしょう。

温泉を末永く守る取り組みが新たな日本の温泉文化に加わり、さらに温泉の魅力が増すことを期待したいです。




# by meishanton | 2023-03-02 17:50
118.湯たんぽ大好き

 梅山豚の飼育を引き継いで今年で30年目になります。

何となく梅山豚を理解できたところと、まだまだ理解できていないところがあり、つくづく飼育が難しい豚だと感じています。

 その中でも30年間試行錯誤を続けているのがその高い事故率(死亡率)です。

ご存知梅山豚は世界一の多産系豚の一種です。

中国には1回で33頭という出産記録もあるくらいで、塚原牧場でも最高で23頭産まれたことがあります。

一般豚が平均10頭のところ2倍近い頭数が産まれてきますので、ほとんどが未熟児で体重は一般豚の半分の700グラムくらいです。

母豚の乳首は片側に9個、左右合わせて18個ありますが、横になった母豚の上側は子豚には高くて乳首まで届かないとか、下側は母豚の腹に潜り込まないとくわえられずある程度パワーが必要になります。

さらに口が小さくて大きく開けられず乳首をくわえられない子豚もいて授乳にも介助が必要なほどです。30年前は産まれてきてもおよそ半分の子豚が死亡していました。

現在事故率は改善しておよそ20%、それでも一般豚の10%に比べると2倍の数が死亡しています。

そんな産まれたばかりの弱々しい未熟児同士が争って母乳を飲むわけですから、母乳にありつけない子豚もいます。

母乳は栄養ですから飲むと身体から熱を発しポカポカしますが、飲めない子豚は身体がどんどん冷えて行きます。

産まれたばかりの子豚は、体力を消耗した後低体温により死亡するケースが多く見られるのです。

ある日子豚たちが寝る保温箱と呼ばれている部屋に小さな湯たんぽを導入してみました。

300円ほどのプラスチック製の簡易的なものです。

するとどうでしょう、子豚たちは争うように湯たんぽに寄り添って行きます。

次々に湯たんぽに群がってついには湯たんぽが見えなくなるほどです。暖房器具があり部屋の中は暖かいのですが、湯たんぽの暖かさは格別なようです。

今では産まれて5日目までの子豚たちには湯たんぽを朝晩置いてあげるようにしています。

身体を温めると元気になり、母乳を飲む力も湧くようで事故率が改善しています。

30年も梅山豚を飼育していますが、低体温対策に湯たんぽがこれほど効果的とは思いつきませんでした。

そして冬の分娩直後に起きる事故ではその多くは低体温だったと改めて気付くことになりました。

今年も湯たんぽが活躍する季節になりました。

電気料金も高くなりエアコンを控える気持ちにもなります。

私たちも湯たんぽで身体を温めて元気に冬を乗り切りたいものです。

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# by meishanton | 2023-02-01 18:09
新年明けましておめでとうございます

皆様、穏やかなお正月をお過ごしでしょうか。

2022年、梅山豚を飼育する私たちにとっては試練と喜びの交錯する年になりました。

コロナウイルスには第6波、第7波と引き続き苦しめられました。

また、長年利用してきた屠畜場はグループ農場で豚熱感染が発覚して経営破綻し屠畜場を移ることになりました。

さらにウクライナ紛争と円安では飼料価格の大幅な高騰が起きています。

コロナや豚熱、ウクライナや円安は私たちの経営努力ではどうすることもできないことですが、次々にそして同時に降りかかる厄災に心が折れそうになった年でした。

しかし、試練ばかりではありません。

豚熱感染を免れ新しい屠畜場に移ることができ現在も無事に梅山豚を皆さんにお届けできています。

飼料価格の高騰も地元でトウモロコシをつくる仲間が出現し、ある程度抑えることができています。

今年はさらにトウモロコシをつくる仲間が増えそうです。

長年望んでいたテレビ番組「食彩の王国」にも出演することができ、皆様はじめお取引先の方々が番組を観て大変喜んでくださいました。

こうした試練と喜びが私たちをまた逞しくしてくれたような気がします。

梅山豚を続けることは挑戦を続けていくことなのでしょう。

そんな2022年も皆様に支えていただき乗り越えることができ、本当に感謝しかありません。

そもそも梅山豚は販売先がありませんでした。

市場に出荷すると体型の悪い梅山豚は「規格外」という格付になり安値で取引されました。

未熟児のため育てるのが難しく成長も遅い梅山豚はコストがかかります。

皆様に支えていただき継続する事ができたのです。

私達はこれからも愚直に梅山豚を中心として国産飼料の取り組みや、地元貢献などに取組み、未来の農業を担う人材を積極的に採用し、さらに美味しい梅山豚をお届けできるようスタッフ一同努力していきます。

梅山豚を通じて『食』と『農』と『環境』という分野の新しい時代に挑戦し続けていく私たちを2023年もどうぞよろしくお願いします。

2023年1月吉日

株式会社 塚原牧場

代表取締役 塚原 昇


# by meishanton | 2023-01-04 18:21

梅山豚の最新情報をお届けします。
by meishanton
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